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感想用スレ (Res:29)

1 名前: Xenon/nazI 投稿日:2007/01/15(月) 03:32 ID:.Mzj1dYc
この掲示板に投稿された作品に対する感想をつけるスレです。
名前欄に『>>(作品名)』◆酉のように入れると作者が探しやすいです。

2 名前: 『>>寒冷前線錯綜中』 投稿日:2007/02/06(火) 23:41 ID:9drCMTSQ
冒頭から不思議な出来事が起こって掴みはOKって感じですね。
描写も上手いですし、「どうなるんだろう」って思わせる文章もなかなかのものです。
この調子で書いていけば面白くなりそうですね。

3 名前: 『>>寒冷前線錯綜中』 投稿日:2007/02/09(金) 23:02 ID:D5E62xuc
先のレスで書き忘れた事と共に今回投下された部分についての感想をば
まず前回までの部分で気になった点についていえば、一人称の割に主人公の内面の描写が寂しい気がしました。
特に、いきなり雪山に放り出された上に女になっていたという異常な状況にもかかわらず、主人公がそれほど動揺していないように感じてしまった所が気になります。
もう少し主人公がパニックに陥ったりする描写がないと、リアリティが無くなるかもしれません。

次に今回投下された分について、あえて気になった点から書かせていただきますと
まず気になったのは、主人公が助けを求める先として吉森を選んだ理由が薄弱に感じられたこと。
一回しか会ったことがない人物の所に、こういった状況で助けを求めるでしょうか?
また、前回の更新分の最後で、こういう状況でも冷静に受け止めてくれるであろうから選んだと書いていましたが、そういう風に主人公が考えた理由が今のところ明示されていないのでそこも気になります。(もっともこの後書かれるのかもしれませんが)
あとは所々のネット系のネタが気になりましたが、これは俺の趣味なのでスルーしてもらっていいです。

次に良かった点を
相変わらず描写がうまいです。また、新キャラの吉森のキャラがしっかり立っていて面白いです。
まだまだ導入部なのではっきりとは言えませんが、こういったキャラクターがしっかりしている作品は面白くなるという予感を感じます。
今後も頑張ってください。

4 名前: 『>>月と少女と屋上で。』 投稿日:2007/02/11() 20:41 ID:ji5MRTAk
ここまで投下された分について感想を

まず気になった点は弥生の設定について、「鞄やシャーペンは持てないのに携帯は何故持てるのか」ということです。
もしかしたら「事故当時身につけていた物は持てるし、使用できる」という設定なのかも知れませんが、今のところそこら辺が不透明です。(歩道橋から落ちた後、携帯が壊れないかという点も気になりますし)
また、もしも先に述べたような設定があるのだとして、今度はもう一人の主人公である真司が『手先が、という意味ではない。事実、手先はなかなか器用で、料理も得意だった。僕に夕食を作ってくれた事もあるくらいだった。』と述べているわけで、「道具を持てないはずなのに、どうやって料理を作ったのか」が問題になってきます。
もちろんまだ導入部が投下されただけですから、いまだ書かれていない設定がある可能性も多々あるわけですが、とりあえず気になったのでご報告します。
全体的な感想を述べますと、まとまりのある文章と表現の上手さが好印象で、なかなか期待が持てそうな感じだと思います。
これからまだまだ先が長そうですが、今後の展開が非常に楽しみです。

5 名前: >>助けて! ダーウィン先生!! 投稿日:2007/02/20(火) 00:21 ID:VM2h3qsE
面白いです。
キャラも立ってるし、次の展開が気になります。
長編で小さいところをつついてもしょうがないので、話の展開に期待してます><

6 名前: 『>>寒冷前線錯綜中』 投稿日:2007/02/20(火) 00:51 ID:VM2h3qsE
ミステリー小説ってあまり読まないんですが、これは読めました。
友達のキャラがいいですね。友達がでてきてから、おもしろさがぐんと上がりました。

7 名前: 『>>寒冷前線錯綜中』 投稿日:2007/02/20(火) 23:08 ID:bVSXpSTA
気になった点をば。

・名前が佐和だと性別がわかりづらい
・一行目は小説の顔なのに芸術性が低い
・第一人称文体なのに第三者的で説明的
・ご都合主義な切符への説明が足りない
・佐和のそれは暗示か催眠術?
 だとすると説明不足、違うなら意識変化が急過ぎておかしい
・特殊な趣味を持つ彼女なのに普通の付き合い?
・吉森が信じるのが早過ぎる点(展開早める為?)

8 名前: 『>>ワルキューレ』◇4dU066pdho 投稿日:2007/02/28(水) 01:19 ID:ooyuze/M
 昨日の約束通り投下してもらえてうれしく思いますw

 感想
 ・きっちり下調べがなされているらしく、細かい描写まで(特に武器)されていた。
 ・ノイマンのキャラクターが現実に即している面もあり、臨場感があった。
 ・後半のエリーの葛藤が面白かった。金髪おさげは反則だと思うw

 気になった点(ほとんど揚げ足取りみたいなもんですが)
 ・上手いな、と思う形容詞や表現がいくつか見られるのだが、
すぐ近くにまったく同じ表現がある。読者からすると「さっきも見たぞ?」と違和感。
(「投薬によって感情を抑制されてはいても」、ワルキューレの騎行に対する「勇壮な」など)
 ・モルヒネって鎮痛薬じゃないか? と思って調べたら恐怖を抑える効果はないなあ。
抗不安薬ということで(時代的には)フェノバビタールあたりが適当では。
むしろぼかして「薬剤」で通しても良いかと。むしろ一箇所しかないモルヒネは見落とし?
 ・武器の説明をしすぎてる部分が大きいかもしれない。正直、一部のミリオタしかついてこれない。
手前味噌で恐縮だが、俺は「FA-MAS」を想定しながら「アサルトライフル」程度に書き換えた。
(FG42だったら、直接そう書かずに「自動小銃のマガジンを側面にセットし、」なんて表現をすることで、
ミリオタにはFG42であることを匂わせつつ、説明臭さをなくせるのではないか)
 ・艦長の思索と立ち直りが早すぎる印象がぬぐえない。冷静に娘の分析を行なえるには
もう少し時間が掛かるのが人間臭くて良いと思う。あるいはエリーとの会話の中で立ち直って行く方が自然か。
せっかく視点をいくつか持っているのだから、アメリカとかの視点を間に挟むだけで印象は大分変わったはず。
 ・うーん、ここまで史実に乗せて書いて来ていたので、そこからするとオートマタはちょっと
時代に合わなさ過ぎかなぁ、と苦笑。実際に今俺たちが見ているアシモのレベルから想定すれば不自然かと。
多分、自動で動くとしても足は二足歩行せずベルトで動き、体はむき出しの鉄板だろう。
頭もなく、目はカメラがついてるだけ。あるいは、有人であればまだ現実的だったか。

 つらつら揚げ足取りしましたが、面白く読ませていただきました。
 俺もメイド長編書こうかな。

9 名前: ワルキューレ ◆4dU066pdho 投稿日:2007/02/28(水) 01:53 ID:01QAFrOk
感想ありがとうございます
長くなってしまったのですがちゃんと読んでいただけて嬉しいです
オートマタは自分でもやり過ぎたかと思いましたが
エリーの設定からしてもうアレなのでコレくらいぶっ飛んでてもいいかなとか思いまして
やっちまいました
指摘していただいたところを考えて、次に生かせるようがんばろうと思います

金髪おさげは「der Untergang」という映画に出てきた金髪おさげ少女が可愛かったので
これだ! と思いました

10 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:29 ID:/OBvzfq.
感想の前に、全体の流れを追ってみる。
1・竜殺しの女と、そのお城について。
2・登場人物紹介を兼ねてヘンゼルさん家にお呼ばれ。旅に出るという提示。
3・主人公とヒロイン(?)の掘り下げ。
4・主人公と女の掘り下げ。
5・旅の目的の提示。
6・出発前の風景。メイドの紹介。重要アイテムを出す。
7・馬車移動の風景。魔法についての説明。
8・キャラの掘り下げ。主人公の才能について。
9・キャラの掘り下げ。主人公とヒロイン(?)の剣の腕について。
10・山場その一。虫との戦闘シーン。エロ。主人公と剣の特殊性について。
11・戦闘後の減速。エロその二。主人公の特殊性についてその二。
12・町の風景。女の背景について。
13・竜と魔力の説明。戦闘シーンと合わせていろいろ伏線。
14・武器購入。あとキャラ掘り下げ。
15・舞踏会。主人公は美形。旅の目的へ疑問を抱かせるための伏線。
16・馬車での風景。キャラの掘り下げ。
17・旅の目的へ疑問を抱かせる。
18・山場その二。偽門番達との戦闘。最強と目されていた女の敗北。
19・反攻作戦を決意。
20・回想。いろいろ種明かし。
21・反攻作戦開始。
22・ヒロイン(?)の見せ場。
23・合流。竜の血と魔力に関する伏線の消化。
24・戦闘後にちょっと減速。
25・親玉登場シーン。
26・操られてる女との戦闘。
27・ラスボス登場シーン。
28・女復活。同時に女最強伝説。ラスボス敗退。
29・エンディング。

11 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:29 ID:/OBvzfq.
とりあえずとんでもなく大雑把に分けるとこんな感じ。
ちなみに起承転結をどう受け止めたかというと、
起:1−6
承:7−16
転:17-20
結:21−29
たぶんこうなる。
転の部分に関しては、様々な種明かし、旅の目的への疑問、女の敗北と、
この話の前提部分をいろいろひっくりかえしているのが、ここら辺だと
判断したので、こういう扱いにしてみた。

悪くは無かったけれど、凄く面白い! と言える作品でもなかったと思う。
んー、なんだろう。盛り上がって欲しい部分で盛り上がってくれなかったのが原因かな。

まず最初に、ヒロインの扱いについて。
女と少女とメイドがいるわけだけど、色事臭をさせているのに、主人公が
どのキャラにもなびいていない。三人ともにフラグ立ててるのに。
天然で好意に気付かないというキャラ作りをするのは良いけれど、最終的には
誰かとくっついてもらわないと、消化不良。
誰ともくっつけないという手法をとるのなら、女とメイドに関してはもう少し主人公
との絡みから色事めいたものを抜いて、ヒロインは少女なのだと、しっかりと読者に
伝えたい。それぞれに魅力的と言えば魅力的かもしれないけど、キャラ紹介の
最後に三人とも「主人公が好き」と書いて通るようでは、ぼやけてしまう気がする。
そういうのはそれが目的のお話でやれば良いのであって、この話の主題は主人公
モテモテには無いと思う。
さらに言うと、少女とメイドのキャラも一部被ってしまっている。実直で、生真面目。
この性格は主人公とも結構被っている。もう少しキャラに幅を持たせたい。

12 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:29 ID:/OBvzfq.
それからキャラの呼称。
地の文では徹底して女、少年と書かれている二人。
ヒロインは基本的に少女と呼ばれているけど、一部ハルナと書かれている。
地の文から片仮名の名詞を削りたかったのか、それとも女といえばシャーロット、
少年といえばルイ、少女といえばハルナという感じでキャラを優遇したかったのか。
キャラクターの性格と同じく、ここでもヒロインが少し割を食っているような気がする。
女と少年に関してはある程度成功している。
けれど、少女に関しては徹底されていないこと加えて、舞踏会のシーンでリーネとか
いう女の子を称して少女と書いてしまっている。
メインヒロインは女ではなく、少女のはずなので、こういう演出面で印象を弱くしてしまう
のは勿体無いなあと思うわけです。

もう一つ、キャラの造詣について。
氏の作品に出てくる登場人物は、独特の思考回路や台詞回しをすることが多く、そこが
大きな魅力の一つだと思います。
けれど、今回ちょっと度が過ぎていて、共感しづらいキャラだったように思います。
なんというのかな、人間味が薄くて、こう、「え? そんなことしちゃうの?」という部分が
多かったです。特に顕著に感じたのが104レス目あたりの、ヒロインと主人公、メイドが
合流して、男達と戦闘になった後の部分。
男達と戦って、流血沙汰になり、そばには死体がごろごろ転がっていて、自分達は傷と
返り血で汚れている状況です。その状況で、水浴びをしたいなあ、それよりも腹ごしらえ
だよ、なんて言って笑いあっているのです。情景を想像すると、あまりのアンバランスさに
気持ち悪ささえ感じてしまいます。
日常的に戦場に出ていた人間なら、人を殺すということ、その次を考えて休めるときに
休み、食べれるときに食べるということ、それらを理解していてもおかしくありません。
けれど、そんな戦慣れした人間が、戦闘の直後、次の戦いの直前、こんなにも無邪気に
笑っているものでしょうか。

13 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:30 ID:/OBvzfq.
さらに書くと、ヒロインと主人公は剣の嗜みがあるとはいえ、初陣は旅に出たあと、蟲との
戦いだったはずです。メイドは料理やなんかで血を見慣れていると言っても、人の死体
なんて目の当たりにする事は初めて(門番戦を合わせても二回目)のはずです。
他の部分でも、ここまで酷くはありませんけれど、人間が動いているように見えないシーン
が何箇所かあります。
キャラクターの行動に、読者を納得させる説得力を持たせてください。

続いて個々のエピソードについて。
出すタイミングをもうちょっと考えて欲しかったなあと思ったのが、20番。
過去の回想シーンです。
こういう回想シーンの次に持ってくるのは、ベタであっても回想の主体である女にした
方が良かったのではないかなあと思うのです。
回想シーンの前後は完全に主人公とメイドのターンなので、こんなところでいきなり
ぽん、と出されても、前後の繋がりのあるエピソードとして読むことができません。
迂闊に女を昏睡から覚醒させたシーンを入れてしまうと、親玉引っぱたいて一人で
帰ってこれそうだから、ちょっと難しいかもしれないけど。
そこは猿轡なりギャグなりかませて、喋れなくしてからじっくりと操り人形にするシーン
を入れるとかでも解決できたかなあと思う次第です。

このエピソード無くてもなんとかなったんじゃないかなあと思ったのが、15番。
舞踏会のシーンです。
もちろん、情報的には旅の目的であったお見合いの存在というものを疑わせるという
とても重要な役割を果たしているのですけど、そのためにリーナ、王子というキャラを
二人も出してしまうのは割に合わない。
作品を読み終わった後で、この二人が登場した意味を考えると、本当に情報を渡す
というそのためだけに出てきたキャラに見えて、とても浮いている。
舞踏会シーンを丸ごと削るか、名前を持たない脇貴族からの情報にするとかでも
良かったような気がする。というか、リーナはともかく、王子の方は下賎の民なんか
目に入らないタイプの人種だと思うから、ルイには話しかけないような気がする。

14 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:30 ID:/OBvzfq.
そして一番盛り上がって欲しかったのに、盛り上がってくれなかったのが、結の部分。
大きく見れば確かにお城での戦闘という一つの場面なのだけど、その実ヒロインが
逃げ出したり、戦ったり、親玉がやっとこさ登場したり、女が操られていたり、その
女を正気に戻したり、竜が復活したり、あっさり倒されたりと、細かいエピソードが
同じ様な重さで順番に書かれているので、いまいち盛り上がれない。
最後の最後でぐっと読者を引きこむ事が出来ていないように感じる。
それぞれのエピソードが本当に順番に解決していっている感じで、一連の流れとして
あまり綺麗に繋がっていないのが原因かと思う。
助けを待たずに自分の力で逃げようとするヒロインとか、書きたかったのはわかるの
だけど、全体の勢いを殺してしまっているように思える。
結に入ってから戦うべき相手が多すぎるのが一因になっていると思うので、いろんな
戦いを削ったり統合したりしていけば良いのではないだろうか。
例えば、ヒロインを捕らえていた男達には、もっと多くの人数で儀式に参加させて、見
張りを一人、二人程度にして、脱出をヒロインの手だけで成功させてしまい、合流の部
分を簡略化してみるとか。
例えば、親玉は逃げるのではなくて、その場でもう竜を召喚してしまって、竜&女の混合
軍に、主人公達三人で同時に立ち向かうとか。
何よりも一番の問題は、最大の敵であるはずの女と竜が、とてもあっさりと打ち倒されて
いるのが原因かと思う。特に竜は、紛い物であることと女が強いことばかりが強調されて、
完全なかませ犬になってしまっている。
主人公達三人が散々手こずった相手を、正気に戻った女が圧倒するからこそ、得られる
カタルシスがあるのではないだろうか。
物語としての魅せ方を、もう少し考えてみて欲しい。

15 名前: ルインロッテ ◇QIrxf/4SJM氏への感想 投稿日:2007/10/13() 19:31 ID:/OBvzfq.
設定についてのお話。
良く練られており、独自の世界観を上手く作れていると思う。
魔法についての説明を主人公への授業という形にして、説明っぽさを減らす工夫も細かい
けれど上手いポイントだと思う。
その分だけ、1レス目でお城の描写とともに書かれている、女の竜殺しだとか蝙蝠の魔女
だとかいう部分が説明くさいなあ、と気になってしまう。
特にこの部分は冒頭、読者が最初に目を通すところなので、読む気を削いでしまうような
説明というのは、極力削った方が良かったのではないかと思う。

女の実力と知名度の高さについて、何度か触れられているが、その割にはノドルカの町
などでの女の扱いにちょっと疑問。
まさに竜のお祭りの真っ最中だし、町を襲った竜を倒した(しかも幼少時はその町で過ご
していた)女に対して、なんらかのリアクションを起こしたのは、女が自ら訪ねた人達だけ
というのは、不思議な話だ。町を歩いていて、あれが蝙蝠の魔女だと歓迎されたり恐れ
られたり、そういう事はないのだろうか。女も別に顔とか髪とか隠しているという描写は
ないのだし。

ところで操られている女との戦闘シーン。
女が詠唱なしで魔力を溜めて攻撃しているのだけど、これってありなのだろうか。

あと誤字とか脱字が結構目立った。
えーと、逐一抜き出すのは、すいません。大変なので諦めました。
投下前の見直しはしっかり、ね。

というか感想スレが15スレ中14番目にいたんだがどういう事だwww

16 名前: >>心の声に耳を澄ませて 投稿日:2008/03/08() 05:20 ID:qv7RjFXM
学園モノ。品評会作品でも書いてたけど、こういうのが書けるって素直に凄いと思うな。
内容は恋愛絡みの優しいもの。様々なキャラ達を通していくつかの事件が起きる。
んで、それを通して主人公の立ち位置や坂本さんとの関係が微妙に動く…と。
展開は王道だ。そして、それを支える一人称も技術的なものは相当高いと思う。
ただ、だからといってこの話を素直に面白いと思えるかと聞かれたら、答えはNOなんだ。
何故か? 俺自身、何故こういう感想を持ったのか考えてみたんだけどね。
貴方の描写技術は凄いと思うよ。書きたい物を書けるだけのものはすでに持っていると思う。
ただ、品評会の時も思ったけど、それは一人称らしい一人称ではないんだ。
一人称の利点は、主人公の視点から物語を追うことによる臨場感。そして、「主人公の知っていることしか分からない」ことであると思う。
だからこそ、読者は物語に感情移入しやすい。
でも、貴方の一人称は、とてもカメラ的なんだよね。無機的というか、小説内の事実に忠実というか。
登場人物達(自身の自己分析も含めて)を、客観的に見すぎているんだ。言い換えれば、三人称の書き方で一人称をやっているように見えるんだよ。
特に、3章が顕著だ。そして、その描写で物語を追っていかれると、読んでいる方は一人称的にも三人称的にも物語に入れない。
主人公というフィルターを通して物語を追っているのに、そのフィルターには主人公の色が付いてない。文字通りのカメラなんだ。
前回の品評会の時、俺は貴方の作品に対して「もう少し、見えない部分があってもいいんじゃないか?」と書いた。
でも今思えばそれは違ったんだと思う。多分、三人称的に描かれた一人称だったから、見えない部分が無いことに違和感を感じたんだろう。
今回も同じように思った。1人称にしては、その利点を活かしてない。描写を隅々まで書きすぎている気がする。
こんな指摘をされても、何言ってるんだ?と思われるかもしれない。
でも、書いていて「一人称と三人称どっちがいいか」とか悩んでいたんだよね? そうだとしたら、それは作品にダイレクトに出ると思う。
4章と5章にはそれは見えなかった。主人公の感情がはっきりと伝わってきたから、気持ちのいい終わり方だったよ。
まぁ、結末に関しては書きたいシーンがしっかりとビジョンとしてあるだろうから、なかなかブレというのは出ないと思うのだけどね。
4章、5章で迷ってたのなら俺の赤っ恥だけどw
そして、もう一つ気になったことがある。
これは人称のことと関係があるのかもしれないけど、所々の描写が妙に詳しすぎる。
例えば、2章のテキストかワードかのやりとり。これで結局人間性云々まで話が進むのだけど、これって必要なんだろうか?
多分、坂本さんの人間性の描写の一部なんだろうけど、はっきり言って余計にしか思わなかった。
それよりもむしろ、坂本さんがどんな女の子なのか?ということを描いて欲しい。
矛盾しているように聞こえるかもしれないな。女の子っていうのは、女の子としての魅力的な部分ね?
極端に言えば、登場人物の性別すら伝わり難い。下の名前が初っ端から出てこないしね。
坂本さんで言えば、口調が女の子でなければ女の子であるとすら気付かなかったと思う。部長や白浜さんも同様だ。彼らの姿形が伝わってこない。
それは意図的なのかもしれないけれど、読者は小説を見る時に恋愛といっしょでまずは見た目から入るんだと思う。
その見た目がはっきりしないうちに、人間性の説明をされても???ってなってしまうと思うんだよね。
他にも、人間性や物事の内面的な意味を描写しようとし過ぎている気がした。
1章は4章、5章…というか物語の中核を成す重要なことを書いているはずなのに、むしろ逆に結末の為に無理矢理存在しているように見えた。
物事の魅力っていうのは、内面だけではなく外見や行動、仕草も大きい。多分、この辺は三人称をやっている時なら自然に出来ているんだと思うよ。
ただ、中途半端な人称が小説を縛ってしまっている気がする。

なんて、独りよがりに読みすぎかなw
間違ってたらゴメン。偉そうなことがいっぱい書いてあるけど、ムカついたら適当にスルーして構わないから。

17 名前: >>今はとどかない朝にその手を伸ばして 投稿日:2008/03/08() 05:24 ID:qv7RjFXM
まずは、全感で指摘したことを謝罪する。ゴメンねw
貴方は意識的、あるいは無意識的に文体を物語に応じて変えられるんだろう。それは凄いことだ。
何よりも、文体を多少硬質化させても、貴方の良さである文章内の動きの良さは損なわれていない。文才自重しろw
ただ、だからといってこちらも素直に面白いは言えない。
まず、物語の内容に対して量が多すぎる。512ページって、鼻血が出るかと思ったw
例えば、イリヤちゃんとかが出てくる辺り。この辺は多分かなり削れる。
この辺りの話がどうしても必要なら、せめて固有名の無い町の子供とかで良かったと思う。
処理すべき情報が増えて読者に負担をかけてしまうだけだと思うんだ。まぁ、自分のキャラだから出したかったのはあるんだろうけどね。
次に、キャラの問題。
モリーはいいと思う。過去の経験から力を欲しがる女性。人間的な根本は優しいけれどちょっと影があって…だろうか?
でもね。これはアヤメのお陰で成り立っているキャラなんだ。残念ながら、モリーだけではキャラが立ってない。
しかももっとかわいそうなのはアヤメだ。彼女の存在意義は、モリーのキャラを形作るだけの道具としてだけ。
結局の所、アヤメ個人には大して意味が無くなってしまっているんだよ。しかも、モリーが依存する対象としての意味も後半は皆無。
終わりに近づけば近づくほど、影が薄くなってしまった。色々、伏線ぽいのはあるのにね。
カートフィールドはいいね。多分、モリーよりもしっかり書けてると思う。悪いだけに納まらない悪役っていいよね。
シンシアは……うーん。可愛いっちゃ可愛いんだけどね。まぁここまで行くと好みなのかもしれないなw
第三に、これは特に動きの無いシーンに見られたことなんだけど、描写が詳しすぎると思った。
部屋の中にある物に関して、あるいは歩いている町の光景の細部に到るまで、びっしり書いている。
丁寧と言えば聞こえは良いけど、ここまでやる必要は無かったと思う。上でも書いたように、処理すべき情報が増えると読者は疲れるからね。
重要な場所でも無い限りは、多少描写を控えてもいいと思った。
まぁ、これは多分量と比較して思ったことなんだけどね。
第四に終わり方の問題。あまりにも尻切れトンボ過ぎる。アヤメちゃんは逃げちゃって、戦いはまだまだ続くってんじゃ、読後感が良くないと思う。
この後続編があるってんなら話は別だけど、これは一つの長編なんだよね?だとしたら、結末をしっかりつけるべきだと思う。
テーマがテーマだけに、それはかなり難しいと思うけどさ。なんか、無理矢理終わらせた感じだ。
もしかして、結末を元あったものからちょっと弄ったのかな?
そして最後に文体の話。確かに変わってはいるんだ。
貴方の品評会作品はいくつか読んだことがあるし、ほのぼのした優しい話の時とは明らかに違う。
でも、結局の所貴方の文体の核とも言える雰囲気は、物語にあまり沿ってないと思った。
文体に個性と雰囲気があるってのはそれだけで凄いことなんだけど、やっぱりマイナス面もある。それが強いなら尚更ね。
あるいは、これが単なる冒険活劇だったなら、きっともっと素直に読めたのかもしれない。
または、一人称とかね。

偉そうに書きすぎだな俺w 感想を書いてると、ノってきちゃって好き勝手書き始めるから困る。
適当にスルーしちゃってくれw

18 名前: 読みました報告 投稿日:2008/03/11(火) 19:34 ID:xUjvTAEY
『今はとどかない朝にその手を伸ばして』◆D7Aqr.apsM氏 拝読しました。
ていうかだいぶ前にもう読み終わってました。ほとんど一気読みでした。
それからずっと感想書いてるんですが、なんかいつまで経っても終わる気配がなく……。
そのうちこちらに投下させていただく予定なので、その報告だけ。

『心の声に耳を澄ませて』◆bsoaZfzTPo氏 も読みたいのですが、この調子だといつになるやら……。

19 名前: ◇1/3 感想 >>『今はとどかない朝にその手を伸ばして』◇D7Aqr.apsM氏 投稿日:2008/03/13(木) 20:18 ID:IpGKFdKY
 まずは胸一杯の「乙」と、「面白かった」を作者に。
 そんなわけで感想なのですが、どういうわけか上手く書けません。いつもの本スレの「全感
想」の調子で書くと、どうも言葉に詰まってしまいます。そんなわけで、ちょっと「読書感想
文」風に書いてみることにしました。よって、いつもと感じが違いますが、ご容赦を。
 さて。いいところは色々あるのですが、なにが驚いたってもう、読後の感覚です。読み終え
てしばらく、物語世界が脳内にこびりついて取れないこの感じ。面白い本を読んだとき独特の
余韻、だと思うのですが、この小説の場合は「世界観」が離れなかった、というのがポイント
ではないかと思います。
 この作品で一番深く胸に刻まれたのは、物語の舞台そのものです。厳格な設定に詳細な描写、
微に入り細をうがつ表現の数々は、そこに書かれている以上のものを脳内に想像させてくれま
した。例えば、兵器や乗り物などの道具類――いえ、食べ物や建物もありますので、それらも
ひっくるめて『もの』と呼びたいところですが、とにかくその描写には目を見張るものがあり
ます。運用を考えたリアルな描写だとか、あるいは小物の選別センスが良いだとか、そういう
次元ではなく、それら『もの』の描写とその積み重ねによって、そこに人が生きていることを
感じさてくれる、という書き方は、まったくこの作者さんならではのものだと思います。
 例えば仮に「この作品の挿絵を掛け」と言われたなら、どのシーンの風景であれもう何も迷
うことなく描けてしまいそうな気がします(私の絵画の技術については別として、の話ね)。
要するに、書かれていないものまで見えてしまうような、そういう風景の生々しさ――想像力
を無理に働かせずとも、その世界を感じ取れてしまうような存在感を、小さな描写の積み重ね
の中に感じるのです。
 もちろんそれは、例に挙げた小さな『もの』だけには留まりません。それらの集積であった
りなかったり、とにかくもっと大きな意味での『もの』――例えば下町であったり、都市であっ
たり、あるいは国家というような――にも通じて言えることです。国同士の地形や風土、政治
や力の動きまで、まるで自分がそこに住むものであるかのように感じさせてくれる。世界観の
構築、という点については、「素晴らしい」の一言以外に告げるべき言葉が見あたらないくら
いです。
 これだけ詳細に描き込んでおきながら、それがただのカタログ的な「説明」に終わらず、しっ
かりとした「描写」になっている、という点にも着目したいところ。これらの静物や風景はた
だ無作為に書かれるだけではなく、それ自身によって様々なものが表現されている、というの
がよくわかります。それに携わった人物の人柄を遠回しに表したり、あるいはそれを見る視点
保持者の心情を投影するなど、まあ当たり前のことと思われる向きもあるかもしれませんが、
しかしです。これだけの量、これだけのディティールでそれを成すというのは、並大抵のこと
ではありません。ただご飯食べてるだけで楽しい小説、というのは、間違いなく面白い小説で
す。
 ストーリーは骨太な戦争もの、だと思うのですが正直、戦争もの自体がまったく未知の領域
なのでよくわかりません。自分の中で戦争ものと言えば、押井守の『PATLABOR2 the movie』(
劇場版タイトル、小説版は『TOKYO WAR』)くらいのもので、他に引き出しがまったくないせい
でこれと比較しながら読みました。いや、全然ちがうお話なのですが(すいません)、それで
も比較できる点が多くて興味深いです。
 例えば、兵器や食事に対する異常なまでの描写の細かさ……は、さっき書いたのでよしとし
ます。興味深いのは、「戦争」と「情報」の関係、というか情報を主軸に据えて戦争が行われ
ている点だと思います。前述の『PATOLABOR2』においても同様のテーマがあるのですが、しか
し切り口の違いが面白い。ギミックとしては本作の方がよりエンタメ的な装置の役割を果たせ
る設定で、なおかつ押井映画のような難解さを極力廃した形になっているのですが……しかし
そのテーマ性の深さは、十分すぎるほどに生きています。それを端的に示す言葉として、私の
心に特に印象深く残ったのが、主人公モリーのこの一言。
「そんなもん読む暇があったら、素人小説でも読むわ」
 素人小説の発表の場、というこの掲示板の性質を抜きにしても、この一言は印象に残ります。
この言葉がさらに強く、より直接的に現れるのが『検閲』の存在。あらゆる本が検閲を受け、
童話さえも規制される世界観。ブラッドベリも真っ青の、いわば『焚書』の世界。それに抗う
主人公達の『思想』と、それを実現するための手段である『戦争』。本来別個であるはずのそ
れらを、しかしこの物語は全て『情報』というキーワードの元に結びつけてしまいます。交錯
する思想の元には、ペンと剣に差のない戦争があるのです。
 折角引き合いに出したので、もう少し『PATOLABOR2』の話を引っ張り出してみます。あの作
品で印象的に語られていたのは、例えば戦争と情報という点においては、描かれる戦争を全て
モニターの向こう側に書き写し、敵の姿を現さなかったことが挙げられます。正体不明の敵を
追い求めた結果、出てきたものは亡霊かあるいは幻想のようなものでしかなかった、という結
末。作中で語られる言葉を借りるなら「クーデターに見せかけたテロ」というものです。
 本作は一見、これと真逆のスタンスを取っているように見えます。悲しむべきことに、私た
ちの生活において随分と身近な言葉になってしまった「テロ」という存在。本作の主人公達が
身を置く武力闘争も、この「テロ」という言葉で表現されるシーンがあります。しかし主人公
達は明確な思想と目的の元に動いており、これはいわば「テロと思われがちだけど実はクーデ
ター」です。学生闘争を経てバブルに至った当時、ほとんど未知のものであった「テロ」とい
う存在。それを書いたこと自体が『PATOLABOR2』の画期的な点でしたが、では本作はどうか。
 今や時代は逆転し、テロよりもクーデターのほうが疎遠な言葉となってしまった現代。この
作品の描く世界は明確かつ単純です。あらゆる武力行為をモニターの向こうに押しやり、そし
てその全てを「テロ」と名付けて断罪する時代。作品中の世界が著す「世界の危うさ・あやふ
やさ」は、そのまま私たちの生きる現代にも言えることでしょう。氾濫する情報により、ひと
の意識そのものを攻撃する、ある種の戦争のまっただ中にいる、というのは、少し大げさとい
うか夢見がちでしょうか。しかし何をもって真実とするか、という、その各個人の中にある前
提のあやふやさを、この作品を読んだあとには強く意識してしまうのです。
 そんなわけで、ええと、その、なんだ(※素モードのスイッチが入りました)。

 読書感想文風に、という形になると、なんかもうべた褒めっぽくて妙に気恥ずかしいから困
ります。とにかく、一本の長編小説として見て、そして面白かった点を上げるのであれば上記
のような感想です。へんな他作品との対比みたいなのもあって、なんか顔から火が出ます(他
に戦争系の引き出し無いんです、ごめん)。良かったところを細かく一つ一つあげていきたい
ところですが、しかしそんなことをしていてはいつまで経っても書き終わらないので、「良かっ
たところパート」は以上で。上記の点に繋がる部分は、もう全部好きだと思ってください。そ
してその「好き」を大前提にした上で、さらにこの駄文は続きます。

20 名前: ◇2/3 感想 >>『今はとどかない朝にその手を伸ばして』◇D7Aqr.apsM氏 投稿日:2008/03/13(木) 20:19 ID:IpGKFdKY
 つまり、以下は「フルボッコパート」です。なのですが、ええと。
 その前にまず、その意図を。蛇足というか、余計なお節介かもしれませんが、改善の指摘と
いうか「こうしたらもっとよくなるんじゃないか」的ななにかです。無論、的外れの可能性は
かなり大きい上に、しかも個人的な意見ですのでどの程度参考になるかはわかりませんけど、
ただ「筆力を向上させる」的なスレの趣旨もあるので、そんな感じで。
 と言っても、着目したのは作者の筆力向上ではなく、「この作品単体の完成度」です。なん
かこの長編板だけで晒しただけじゃ勿体ない感じがするので、改稿しまくって是非なにかに使
いましょう。と、蛇足を。あとついでにもう一点、ここから先は読書感想文を脱却して、明確
な「私個人」からの「作者個人」へ向けての文章として書きます。もし余計な指摘が不要であ
れば、以下は読まなくて構いません。では、いきます。

 まず一つ、とにかく文章量が多いです。長い、というよりは、本当に「多い」という感覚。
仮に文庫本のフォーマットとかにしたら、すごい厚さになるんじゃないだろうか。そういう分
量を気にせず書けるというのはネット小説の利点の一つではあるけれど、それでもやっぱり読
みやすいのは二五〇〜三五〇枚くらいの分量かなあ、と思います。多くても四五〇枚くらい。
 そしてその「多さ」に関連して、物語の長さについて。実際にこの話、長さとしては上記の
「二五〇〜三五〇枚」程度の物語じゃないか、と思うのです。決して装飾過多、とは思わない
けれど、それでもシェイプアップできる要素はいくらでもあるような感覚。はっきりと言って
しまえば、削れるエピソードがいくつかあるような気がします。
 そのエピソードについて書く前に、まずモリーについて触れておかなければなりません。こ
のモリーというキャラクター、事前の品評会作品などで見知っていたという点を除いても、確
かに魅力的なキャラクターだと思うんですが。なんというか、その本来の魅力に欠けて見えて
しまう部分があって。言うなら、どうも主人公らしくない感じ。他の方の感想にあった「アヤ
メというキャラクターによって成り立っている」という意見とも関連するのですが、それに対
してさらに私なりの解釈を加えるのなら、モリーの抱えた「葛藤」の部分に問題があると思う
のです。
 この「葛藤」という言葉、私の口癖みたいなものなのでわかりづらければ適当な言葉に置き
換えてください。つまり、何か問題があって→それについて悩んで→行動を起こして→何らか
の結果が出る、という一連の流れです。これがないとストーリーが進まない(というか、私は
進められない)という、原因から結果までの一連の流れのことです。特に「葛藤」ですから、
上記の四プロセスのうちの「それについて悩んで」の部分が重要で、ここで共感を得るか否か
が物語の流れにおける説得力やカタルシスを生むのではないかなあ、と、どうでもいい持論に
なってしまいましたが、ええと話を戻しますと。
 モリーにはちゃんと葛藤があるのですが、しかしそれがいまひとつ、わかりづらく感じられ
てしまうのです。はっきり言ってしまえば、このひとは“聡すぎる”。彼女には物事が見えす
ぎていて、頭の回転も冷静すぎるんです。もっとわかりやすく感情に流されたり、あるいはも
のすっごい情けなくへこんだりとか、もうダメな感じに見えるくらいにモヤモヤして欲しいな
あ、と。
 一例を挙げるなら、最後のほう、アヤメが作戦を外されて入院するくだり。あのあたりでモ
リーは大いに苦しみます。アヤメが大切だ、っていうのはわかるのですけど、ならどうしてア
ヤメを置いて戦うのか、という点。まああそこでアヤメと一緒に逃げ帰ってもなんの解決にも
ならないわけだし、モリーに戦う理由があるのもわかるんですけど。でも、なんかまだモヤモ
ヤしてる感じ。例えばモリーが一般人でありながら銃を取るのは、過去の経験に起因する、と
いうような描写があるんですけど、じゃあアヤメより過去の方が大事なんだな、っていうと、
きっとそういうことじゃないと思うわけですよ。そのあたりを、もっとクサくてもいいからはっ
きり描写できないかなあ、と、そう思ったわけです。そしてそれが出来ないのは、きっとモリー
の賢さに原因があるのではないかと。
 もっとはっきり言ってしまうとこの作品、出てくる人がみんな賢いんです。ちゃんと物事を
わかってて、そのうえ覚悟もできてるような感じ。女王なりの覚悟とか、あるいは軍人として
の覚悟とか。はじめから、みんなそういうのをちゃんと持ちすぎな感じ。周囲のキャラクター
であればそれで充分格好いいのですが(でもここは後で触れます)、しかし読者と視点を共有
する存在としてはどうなんだろう、と。つまりもっとダメ人間というか、等身大の欠点を持っ
た人間であって欲しいというか、いや個人的にはそんなのモリーじゃない、とか思いますけど
それは別として。
 一言でまとめちゃうと、主人公の信念がしっかりしすぎてて、行動を選択する余地がないん
ですよね。つまり、物語がわかりきった方向に進んでしまう。どうにもならない中でそれでも
なんとかしなきゃ、とか、あるいはどちらかを選ばなきゃいけないのにヒントゼロでどうして
いいのかわからない、というような状況の発生し得ないキャラクターなんです。そこからの逆
転というか上昇というかが大きなカタルシスを生むのに、それは勿体ないなあ、と。……なん
か抽象的だけど、伝わるかどうか不安。
 で、さっき「周囲のキャラはそれでもいい」と言ったけれど、でもそれは「それでも(ある
いはそれだからこそ)魅力的に映る」という点において、であって、それ以外の点については
問題もあります。さっきモリーについて「物語がわかりきった方向に進んでしまう」なんてこ
とを言いましたが、実はそれはこの周囲のキャラクターたちにも言えると思います。というの
も、読み手として物語を追ったときに、あまりにこいつらに魅力がありすぎて、そのせいでまっ
たく負ける気がしないんです。ちょっと語弊を生む言い方になりますが、意図せず「俺TUEEEE!」
状態が発生している、と言ってもいいかと。まあ主人公たちが魅力的なのは当たり前というか
そうじゃなきゃ困るわけであって、それ自体は間違いのないところだと思うのですが。でもそ
の副作用として発生してしまう一種の「無敵感」に対して、なんの対策も打たれていない、と
いうのが気になるところです。
 対策としては敵キャラを強くする、みたいな感じにもできますが、例えば共和国軍的な「圧
倒的な火力差」的な強さでは意味がありません。物語的な、つまり魅力の面での補強が必要に
なるのですが、それを担うのがカートフィールドひとりだけ(あとリードもか)ですので、要
は多勢に無勢ってところです。じゃあ増やすか、といっても大変なので、ここは逆に主人公側
を弱くする、という方法はどうだろう、と思うのです。つまり、わかりやすい欠点を付け加え
る。
 例えばキイとニールは「撃ちまくるのがよくない」みたいに書かれてるんですけど、でも結
局それって強いじゃん、ってことになるので、もっと別の意味で。簡単にいうと、アヤメみた
いなのがいいかなあ、と。「いつ暴走するかわからん」とか、結構ハラハラだと思うのです。
そんな感じで例えば「なんかきっかけみたいなのがあると感情的になりすぎる」とか、「撃ち
まくるせいで弾切ればっか起こす」とか、そういう「なにか不安要素があって、そのせいで作
戦がぶち壊しになりかねない」みたいなものが欲しいなあ、と思いました。また、その「サブ
キャラの欠点」が、なにか当人の葛藤に直結すればなおよしです。主人公の行動によって、関
係する人間の葛藤を救う、とか、王道だけどおいしい要素だと思うんですよ蛇足ながら。
 あと、なんだ。折角警察の動きが速いわけですから、実は作戦が筒抜けで主人公サイドだけ
それに気付いてない、とかそういうのはどうでしょう。いやわかりますベッタベタですよです
けど、でもそういう「だめだお前そっち行ったら死ぬぞ」的な、読者にだけわかるピンチの予
感、というのも、ハリウッド映画なんかだとお約束の手法ですよね(ごめんここ趣味入ったか
もしれん)。まあ要は、主人公補正(かかってないとは思いますが、なのにかかっているよう
に見えてしまう点)を抑えて、かわりにハラハラ感が欲しいのです。

21 名前: ◇3/3 感想 >>『今はとどかない朝にその手を伸ばして』◇D7Aqr.apsM氏 投稿日:2008/03/13(木) 20:21 ID:IpGKFdKY
 さて、それでは肝心のエピソードについて。これ、全部おいしく楽しめるんで勿体ないなあ、
とは思うんですけど、でも「物語の主軸」みたいなものを一本想定すると、無駄が多い、といっ
てしまえる構成だと思うんですよ。最初のところなんかがわかりやすいかと。学校に違法な殴
り込みをかけてから、それで追われている感がするまで――つまり冒頭の学校のシーンから、
カートフィールドの登場までが長すぎるんです。それまでの間、主人公に強い動機がない、と
いう感じ。また、カートフィールドと接触したところからその対策までも、またかなりの分量
を挟んでる。つまり「暴れた→カートちんに狙われた→あかんなんとかせな」という、わかり
やすい流れを考えると、その間のものが全部余計なんです。
 個人的にはその描写が大好きで、またこの作品の魅力でもあるので、削っちまえおらー、と
は言えないんですが。なんていうか、非常に説明がしづらくて申し訳ないのですが、強いて言
うなら「モリーに当面の目的を!」みたいな感じです。大目的としてゲリラ活動を行う、とい
う点は置いておいて、目下の目的とか、目の前のわかりやすい動機付け、みたいなのがあると
いいかなあ、なんて思いました。それがさっきの「暴れた→カートちんに狙われた→あかんな
んとかせな」の意味です。
 また、大目的のところでも少しわかりにくさがあります。モリーの戦う動機は、傍目には過
去に起因しているように見えるんですが、しかしその反面、アヤメとの日常もまた大切にして
いる。さらに戦うその決意とは逆に、誰も傷つけまいとする姿勢も見える。その葛藤をもっと
わかりやすく、というのもあるけれど、それよりなにより、なぜその上で戦うことを選ぶのか、
という点です。自ら銃を手に立ち上がらざるを得ない、と決意させるには、過去の思い出だけ
では少し納得できません。もっとわかりやすく、アヤメとまた共に暮らすために、とか、目の
前にいる人間を傷つけさせないために、とか、そういう決意のようなものをはっきりと固める
ような場面があってもいいのでは、と思います。
 この動機の問題を総括すると、おそらくはこのモリーというキャラクターが完成されすぎて
いるのでは、と思います(さっき言った「聡すぎる・賢すぎる」に絡む部分でもあります)。
作者の中で出来上がってしまっているので、説明がなされない。あるいは書き表されてはいる
のだけれど、すでに出来上がっているがために、変化(動き)がない、というような。たとえ
ば、物語の開始時点と終了時点で、モリーの内面にどのような変化があったかを考えると、ど
うもアヤメという日常を失っただけのようにも見えてしまいます。
 つまりこの物語は、ちょっときつく聞こえるかもしれませんが「モリーの説明」に終始して
いる部分があるのではないかと。モリーというキャラクターを見せるのは大切ですが、その彼
女が何かを得たり失ったりという動きがなければ、やはりお話自身の意義というか、展開のも
つ力のようなものが薄く見えてしまう部分があります。
 何かを得て成長するのか、あるいは何かを失ってその意味に気付くのか。戦い、という物語
の流れはそれを表現するに十分な舞台だと思いますので、そのあたりを少し考えてみるとかど
うでしょう。できればモリーだけでなく、他のキャラクター達についてもです。

 と、だいたいこんな感じです。あとは書ききれなかった部分の補足とか、あるいは今まで書
いてきたことへの補強として、気になった箇所をちらほらと。

◆アヤメが途中でフェードアウトする件
 過去(暴走の原因・ペンダントの十四人・綺麗な服が苦手)全部放置のまま消えているよう
な。勿体ない、というか、モリーと対を成すメインキャラなんですから、最後まで出して欲し
かったなあ、というのがあります。
◆シンシアのキャラクター性
 折角の濃い、格好いいキャラなのに、でもいまひとつ魅力が出し切れてない感があります。
というのもこのひと、過去の品評会作品で何度か見かけてきましたが、彼女はどうも一人で主
人公張れてしまうキャラらしく、しかもそれがそのまんまの状態出てきてるような気がするか
らです。ポジション的にはモリーと対を成す位置につけられるひとなので、アヤメとはまた別
の観点から、主人公であるモリーとの対比として働かせられないかなあ、と思います。
◆モリーのペンダント、途中でギミックが明かされているのに最後絡んでない。
 顔が隠れる、というのはわかったのですが、そのあと出てこないならあまりいらない気もし
ます。何度か登場しているのが重要アイテムっぽく見えてしまうから、そのせいかも。
◆大学と先生、潜水艦、とかとか
 あとあと出てくるわけでもないので、ここまで詳細にいるかなあ、と。こういう「描写とし
ては美味しいけれど、でも物語の主軸との関連性が薄い」というところがちらほらあって、ちょっ
と勿体ない感じです。削れ、とは言いづらいんですよね、書くこと自体に味があるから。
◆教育庁でのアヤメの暴走における「見捨てる覚悟」的なもの
 結局見捨ててないじゃん、というのが大きいです。わかってるんだけどでもでも、みたいな
感じで、つまり前に言ったモリーの「聡すぎる」ポイントですね。行動や言動を伴わず、一人
問答で答えを出しちゃうには、勿体ないようところのような気がします。ここはさらりと伏線
程度に戸惑ってだけ置いて、後々のキイの「撃たなすぎ」のところあたりで気付かされる、と
いう風にした方がわかりやすいのでは。というのはまあ、拙い例ではありますが、そんなん。

 ええと、なんか他にも色々あったような気がするんですが、さすがに脳が沸いてきたので以
上で。正直、作品を書いた本人にとってみてはキツいようなことをいっぱい書いたかもしれな
い。ましてすでに書き上げられた作品ですから、そんな無茶言われても、みたいに苛立つかも
しれない。もしそうなら、それは本当にごめんなさい。この感想というか指摘というかは、も
う全くの個人的意見であって、ことによると完全な的外れの蛇足かもしれない。それでも、何
か力になれないかなあ、と思って、ついいっぱい書いてしまいました。
 そんなへんな心持ちになってしまうほど、楽しく読ませていただきました、ということだけ
は、最後に強調しておきたいです。とにかく、良いものを読ませていただきまして、本当にあ
りがとう。あと個人的な話。遙か昔にちろっとだけ「長いのくれ」みたいなことを言ったよう
な気がする、と、最後の謝辞を読んで思い出した。もしそんな名無しの一言でも、多少なりと
も執筆の力添えになれたのであったとしたら、BNSKerとして物書きとして、これに勝る幸せは
ないなあ、と。
 ええと。その、なんだ。とにかく。

 おつかれさまでした。そして、本当にありがとう。
 いつか本で読みたいな、と思うほどに、面白かったです。

(文責、は……いらないよね? もしなにか不明な点があればお気軽にお訊ねくださいまし)

22 名前: D7Aqr.apsM 投稿日:2008/03/24(月) 00:02 ID:bxsSr1X.
今は届かない朝にその手を伸ばして、の作者です。
>>17の方、>>19の方、感想・批評をありがとうございました。もっと早くレスを返すべき
だったのですが、ちょっとぼうっとしてしまって、何をどう書くべきか迷ってしまってました。
ぼうっとしてしまった理由は二つです。書き手の意図の、信じられないくらい近いところまで
読み取ってもらえた事に対する驚き・嬉しさと、書き手が漠然と感じていた至らない点の的確な
指摘によるものでした。
 長過ぎる、というのは、これはもう、出発点が間違っていました。よくね、本スレで
通りすがりの人に言われたりするわけです。「なんだ、長いのを書ける奴はいないわけ?」
とか、「ここで書いていても長いのはかけるようにならないよね?」とか。

 長いだけの話にしようとしたわけではないのですが、はい、ぶっちゃけ、目指していたのは
原稿用紙換算で1000枚でした。最初からじゃないけどね。後半入って、いけそうかも。と思って。
でも、そこではたと「長すぎる」ことに気がつきまして。文庫本一冊って何行くらいなんだっけ?
とか調べたりもしたんですが……わからずじまい。まあ、そのまま書いてしまいました。
正直なところ、品評会であれば全部で5レス150行、だいたいどのあたりで承にはいって、とか
感覚的にわかっているのですが、そういった目論みがないままに書いてしまい……この辺は
次に生かしたいと思います。

 そして、読んでもらった方々が感じた、無駄な場面や設定に関しては、これも恥ずかしい話ですが、
長いものを書くときに――長くなくてもですが――最もやってはいけない事をしてしまいました。
 実はこの話、続けたいなあ、と思ってまして。で、続けるための継ぎ手としての場面やらキャラクタ
がやたらと多く存在してます。ま、その他にも要らないシーンやらなんやらはやたらとあって……削り
込めてなかったなあ、というのを今改めて文章を見て思っています。
 まいったなあ。なんというか、こんな状態で読ませてしまって申し訳ない。
 これは、物語としてはかなりの欠点で……。「終わった感が薄い」というの致命的だし、書き手の
思惑だけで続きへのコネクタを用意しまくるってのはなんとも恥ずかしい事をしてしまいました。
これは反省しなきゃですね。
 モリーの描写が薄い……というか、キャラクタ的にたってないのは、これは書いてるときに
「何を描写して何を描写しないのか?」という選択で迷ってしまった所があります。その辺りの
影響で……多分、彼女の葛藤や辛さや悲しさとかを押さえる方向にもっていってしまいました。
ここは、>>19の方が言われる通り、やっぱりわかりやすさとして明示しておくべき部分だったんだ
なあ、と今になって思います。主役なのだし。 

 改稿してどこかに使う、という>>19氏のアイデアは、興味は無くはないのですけれど、
どこへー?というところが、自分の中ではっきりしていなかったりします。でも、改稿はしてみたいなあ。
もっと、きちんと、きれいに、緊張感のある話にしたい。冬がくるまでには……できれば。そのときは
この場所か、こちらあたり(http://noren.blackrabbit.jp/)でお知らせできればと思います。
サイトの方にあるメアドに空メールでも貰えたら、更新したときは情報飛ばさせていただけるんですが……
どうでしょう?。
やっぱり、読んでもらえるのって、とても嬉しいことで。――それだけに、今回の完成度が悔やまれて。
なんだ、その、ぶっちゃけたはなし、仕返しさせろw

 なにはともあれ。
 本当に読んでくれてありがとう。できれば、モリーやアヤメを最後まで見守ってやってくれたら、
うれしいのですけれど。
 では。

23 名前: 1/3 感想 >>『心の声に耳を澄ませて』◇bsoaZfzTPo氏 投稿日:2008/03/29() 21:22 ID:vTnOld.I
 長編、大変に乙でした。そして、面白かった、と先に言わせていただきます。
 というわけでお恥ずかしながら、以前にお約束いたしました感想を投下させていただきます。
 ええと、上手いです。
 以上。おしまい。

 ていうのはダメですよね。でも基本的にそんな感じなんですもん。申し訳ないとは思っても、
でも実際上手いんだから文句言われる筋合いはありません。ないんです。贅沢言うな、文才自
重、と。まあ詳しくはここから述べていきたいのですが、上手く伝えられるかどうか、その自
身はまったくないのでご了承ください。
 まずなにが良かったって、まとまりの良さといいますか。完成度とかいうと非常に曖昧な言
葉なんですが、まさしくそこ。ひとつの物語としてかっちり仕上げられていて、やり残したこ
とがない、という構成の見事さは、やはり読んでいて気持ちがいいです。いや読んでる最中は
そんなの気にしないんですが、しかし物語がさらさらと流れて、テンポ良く進んでいく感じと
いいますか。読み進める手をとどめるものがなく、物語に自然に乗っかっていけるというのは、
まったくもって気持ちのいいものだなあ、と思いました。全体としてのまとまりに加えて、物
語のペースが安定しているこの感じ。長ったるいな、とか、ハイペースだな、とか思う部分が
まったくない。起承転結のバランスとか、でしょうか。いや、自分はこんなに綺麗に書けない
ので、自分にはわからないポイントかも知れませんが。
 中でも、特にクローズアップして言及したい点と言えば、やっぱり人物造形の魅力だと思い
ます。読んでいて無理矢理さ・不自然さを感じさせないキャラクターなのに、十分に個性的で
魅力がある。そういう基礎固めがあるからこそ、テンポのいい掛け合いが本当に読んでいて楽
しい、という。なにより驚かされるのは、全体の分量の割には名前のある人物が少し多めに設
定されている点。にもかかわらず、全員が全員『生きたキャラクター』になっているというの
は、本当に舌を巻く思いでした。出し方も上手いです、これだけの量を出されたら嫌が応にも
誰が誰だかわからなくなりそうなものですが、ひとりひとり覚えて区別できる形で出てきます
もんね――と、ええと、もうおわかりでしょうか。
 このように、どうしてもこの感想、突き放した感じというか、妙に分析的になってしまう。
 つまりそれくらい、読み解く意識を働かせないと、魅力的な点さえもごく当たり前のことと
してさらりと受け止めてしまう。という、このあたりが最初に言った「完成度の高さ」の最た
る点だと思います。簡単にいってしまえば、ただ単純に、もう、上手い。という。そんな身も
蓋もない感想になってしまうので、その、なんだ。感想が書きづらい、とか言ったらダメです
か。ですよね。でも、上手いんだもんなあ。
 ええと、話をキャラクターに戻しましょう。いろいろ魅力はあるのですが、とりあえず、ヒ
ロインである坂本が可愛いです。こういう話においては一番重要なポイントであり、そしてこ
こが出来ているのであるからもうなにも怖いものはないもんね! という感じです。何故可愛
いかと言えばまあ、これも色々あって。そのようなキャラ造形ができている、っていうのが一
番大きいんでしょうけど、でもあえて言いたいのは、こりゃあ主人公である早川の手柄だろー、
という。
 この早川という主人公、いちいち坂本の見方がもうね、ずるいです。そんなに坂本のこと好
きかお前、っていう。そしてそこにガチンコで乗っかれるように書いてあるわけですから、こ
れで坂本が可愛く見えないはずもなく。このあたり、なんて言えばいいのかわかりませんが、
あくまで気持ち的に表現するのであれば、ずるい、と。こんだけ大好きなのに自覚的なキーワー
ドが出てこない、というポイントも、うん、ずるい。良い意味でずるいです、早川。
 そんで早川の話になったので続けて言ってしまいますと、やっぱアレでしょう。いきなり主
軸に踏み込みますが、早川が坂本に感じる「ほのかな劣等感的なアレ」です。ええ、こういう
のもう、大好物ですから。おいしくいただきましたよ。
 小説を書きたい、という思いと、そしてそれが親友(というか、もう結婚しちゃえよって感
じですが、とりあえず建前上は親友)の坂本に決して能わない、という、小さな挫折のような
思い。しかしそれとは別に、坂本に対する微妙な気持ちの働き。という、ね、もうね。こんな
もんがおいしくいただけないはずもなく。これだけでがんがんページが進んでしまいます。う
うん、上手いというか小憎いというか。
 この物語の核にあるのは、創作に対する熱意と不安、そこに生じる葛藤。またそれとは別に、
身近な異性に対する思い――まあつまり恋愛ですね、この二軸だと思うのですが、しかしそれ
はどちらも主人公である早川と、ヒロインである坂本の関係性によって書かれています。つま
りまったく別物の二要素が、坂本というひとりのキャラに投影されて同時進行するわけですね。
しかもそれが、挫折感・劣等感のたぐいと、憧れや恋慕のような思いという、まったく相反す
る二要素であるという点が興味深い。というか、面白い。思春期にもっとも発揮される自己実
現の欲と恋愛とが、それぞれ混在する形でモヤモヤごにゃごにゃと発揮されるこの感じ。いや
本当に、大好きですええ。
 主人公を創作する人間に設定する、というのは、これがなかなか難しいものだと思うのです。
特に小説となると、このお話自身が小説であって、また発表の場であるこの掲示板自体が創作
の場であるわけじゃないですか。そうなると、どうしても視点や主題が偏りがちだと思うので
すが、そのあたりのバランスも上手く取られていて、脱帽です。作者自身への皮肉めいたとこ
ろもなく、また読者が書き手であることに依存したものでもなく、上手く客観的に突き放して
物語上の一要素として作用させている。といって、ならこれが「小説を書く」という行為では
なく、別のもので置き換えられるか、といえばそんなことはなく、十分に創作である必要性が
ある。こういうのは、本当に難しいと思うわけです。
 恋愛感情については――ええと、もう言うまでもないですね。上手いです。満足です。
 さて、それらの物語の核とは別に、全体を通じて書かれていることといえばこれはたぶん、
主人公が生きる世界の空気感ではないかと思うのです。というか、そこにものすごい魅力を感
じました。具体的に言うなら、学校生活・部活動・文化祭という、日常風景。周囲のキャラク
ターの魅力やそれらとの関わり、そしてその中で生きている主人公を感じさせることによって、
読み手に一種の憧憬のようなものを抱かせる――つまり、こういう生活も楽しそうだなあ、と
か、文芸部ってのも楽しそうだなあ、とか感じさせる、この点が非常に魅力的だと思うのです。
 学園もので部活で、その挙げ句に文化部、とくれば、やっぱりこの「日常」がキーワードに
なるかなあ、と思います。運動部みたいに熱血根性論するにはちょっと不利ですし、そういう
魅力ならやっぱりスポ根が一番でしょうから。で、文化部のゆるい日常といえばこれはもう、
自分の中で真っ先に想起されるのが『究極超人あ〜る』なわけで(古くてすいません。最近で
は『げんしけん』なんかもそうだと聞きますが、残念ながらこちらは未読なもので)。ただこ
れ、明らかに違う世界観なんです。『あ〜る』の魅力は文化系部活動のゆるくも濃い日常、つ
まりどっぷりと深いオタク的世界の、いわば内輪ノリのみで構成される一種のバカ騒ぎなわけ
ですが。本作においては、そういう「よくわからないけれど楽しそう」的な部分が皆無。全部
すっぱりと理解できる、超健全な部活観なわけです。どうしても濃い深い方に走りがちな文化
系部活動をしてこれだけの爽やか路線を貫きつつ、なおかつ魅力的に感じさせる、というのは、
なかなか大変なことかと……いえ、これは自分がついつい濃い路線に走りがちなせいかもしれ
ませんが、とにかく楽しげな日常が繰り広げられるという、その点は確かです。
 と、ええと、とりとめもない感想になってしまいましたが、だいたいそんなところでしょう
か。
 ここまでを総括するのでであれば、まず「上手い」と。そして楽しみました、面白かった、
というのが、身も蓋もないですが一番大きな感想です。でした。

24 名前: 2/3 感想 >>『心の声に耳を澄ませて』◇bsoaZfzTPo氏 投稿日:2008/03/29() 21:23 ID:vTnOld.I
 ――さてさて。
 もうおわかりかとおもいますが、ここからはお約束の酷評タイムです。いらないといわれそ
うですが、いちおう書いておくのが礼儀かなー、と思うので。重要視したのはやはり作者さん
の筆力的な云々よりも、この作品単体をひとつのパッケージとして見て、の話です。
 あと、先に謝っておきます。ごめんなさい。もしかしたら、ひどく心を痛める指摘になって
いるかもしれません。そういえば作中では、早川の小説の問題点に対し、坂本が微妙にその指
摘するポイントをごまかすなんてシーンもありましたが……自分にはそんなことは無理です。
わりと根っこの部分に、モロに言及しています。つらくなったら、というかキレそうになった
ときには、すぐにモニタの電源を落として寝ることをオススメします。
 と、言い訳の前置きをしたところで、それでは、行きます。

 いきなり曖昧で、かつどうにもならないポイントからケチをつけてしまいます。まずこのお
話、物足りないというか、どうにもドラマが薄い感じがしてしまうのです。それを説明するた
めに、これが一体「何小説」と呼ばれるべきものか、という点について考えてみたいと思いま
す。例えば恋愛が主軸だから、恋愛小説か。あるいは小説を題材とした青春小説か、はたまた、
文化祭のドタバタがメインのラブコメ話か。まあ呼び名やジャンル分けなんぞをいくら掘り下
げても詮無きことではありますが、ここで言いたいのは、つまりどういう読み手の、どういう
需要に応えるための作品であったか、ということ。このあたりがまず、曖昧な気がしなくもあ
りません。一個ずつ詳しく説明します。
 まずは、ラブコメ話として見た場合。学校で文化祭でドタバタの掛け合いで、と、舞台とし
てはそれにふさわしく、かつ魅力的なキャラクター配置にも思わず納得してしまいそうになり
ます。ですが、ラブ分もコメ分もあるにも関わらず、それらが繋がらない――コメディ部分は
日常の掛け合いなどでやってしまい、ラブはラブで固定化された一本道であるという。つまり、
ラブがらみのドタバタがないのです。一例として身も蓋もない設定を考えますと、例えばこの
配置で、金山と黒井あたりが早川のことを好いている、とした場合どうなるか。まあいわゆる
「ハーレム設定」となりまして、早川は否応なくラブがらみでドタバタするわけになるわけで
すが。それに類する要素が、どうにも薄いような気がするので、ラブコメとも言い難い。ラブ
もあるし、充分にコメディタッチではあるのですが。
 では日常コメディ風味の恋愛小説か、と考えると、これもまた自信がなくなってしまう。確
かに物語の主軸は恋愛劇で、早川が自分の想いに気付いたり、それについて考えたりしながら、
最終的には坂本に告白する、という大団円です。なのですが、やっぱりこれにも問題があって。
物語の構成上、主人公が早川でヒロインが坂本というのはすぐにわかります。お互いがお互い
にどういう思いを抱いているか、というのも、いいテンポで読者への気付きのポイントが掲示
されていきます。と、ここまでは完璧なのですが、そこからストレートに二人がくっつくラス
トへ流れ込む――つまり、恋愛につきものの障害が一切でてこないんです。確かに早川はそれ
なりに悩んだりもするのですが、それは主に小説に関してであったり、あるいはそこに坂本へ
の思い的ななにかも含まれていたにしても、でもあくまで早川の自家中毒的な煩悶でしかない
わけです。つまり外的要因による障害がない。わかりやすい例をあげるなら、三角関係とか。
そこに生じる嫉妬やすれ違い、とか。なので、どうも恋愛小説とは言い難い。
 じゃあこれは主人公が小説を書くという行為に没頭する青春小説なのだな、とも思うのです
が、でもやっぱりそれにもはてなマークがついてしまいます。というのもこの早川、全然小説
を書いていないんです。書き上げたのは作中の冒頭とラストにおいてのみ、それも書いている
シーンは一切なし、という思い切りの良さ。これをして、創作行為に惹かれそこに苦悩を見い
だしつつも己の道を切り開く、というような青春小説的なものとするのは、ちょっと物足りな
い気もします。
 これを身も蓋もなく一言にまとめてしまうなら、「帯に短したすきに長し」という言葉にな
るかと思います。つまり、どこに主軸を置いた話なのかがわからない。いえ、物語の主軸その
ものはわかりますし、そして非常に良くまとまった、出来のいい話であることには間違いない
のですが。しかし、もしこの物語に「物足りない」と感じられてしまう点があるとするならば、
それはその主軸自体の立ち位置がはっきりしないこと――重きを置く部分の振れ幅というか、
つまり、「どういう読み手に、どういう面白さを与えるべく書かれた物語なのか」をはっきり
結論づけることが出来ない点にあるかと思います。
 ちょっとした劣等感と恋愛要素、そしてその解決と、そこに至るまでの人物の織りなすドタ
バタ――と捉えると、これは非常に良くできた話なんですが。そういうちょっとした問題と悩
みと解決、みたいなのは、BNSKの投下作くらいの尺であれば非常に面白い物語だと思います。
ただそれ以上の長さを持つ一遍の長編小説として捉えた場合、やはりもうワンランク上のカタ
ルシスと、そして強固な話の方向性みたいなものを求めてしまいたくなるのも、また事実です。

 さて、ここでさらにもうひとつ。この物語には、決定的とも言える重大な欠点があるように、
自分には思えました。自分にしては珍しく、ちょっと断定的な言い方になるのは、この部分に
ついてはわりと自信があるからです。それは、主人公である早川と、周囲のサブキャラクター
たちの関係性です。サブなので、ヒロインたる坂本は除いた黒井とか白浜とか金山とか、とに
かく早川と坂本以外の全てのキャラクターについてです。
 このお話、色々と早川が思い悩んだり、あるいは坂本に思いを抱いたりとかして、それが軸
になっているのですが。その軸に対して、これだけ魅力的なサブキャラクターが勢揃いしてい
るにもかかわらず、こいつら一切絡んでこないのです。例えば早川に告白してきて障害になっ
たりだとか、あるいは早川が創作についての答えを得るためのヒントになってくれたりだとか、
そういうのがない。早川はいつもひとりで考えたり、あるいは坂本と話をしたりする中で、そ
こだけで、自分なりの答えを見つけてしまいます。周囲のサブキャラはドタバタの掛け合いの
ためだけに存在していて、話のど真ん中に関わってこないんですね。つまりこれだけ魅力的な
キャラクターであるにも関わらず、こいつらがまったく別の人間であっても、物語の主軸的に
は、なんの問題もなく成立してしまうのです。それは非常に寂しいものがあるなあ、と。
 例えば、ええと。拙い例ではありますが。黒井のちょっとした一言が、早川の創作に対する
大きなヒントやきっかけとして作用する、とか。あるいは金山がなにか恋愛に絡むような意外
な一面を見せたりして、それが早川自身の抱える「思い」に対する気付きみたいなものになる
とか。白浜の何気ない一言にヒントを得て、男としてちょっと自覚的に成長してみるだとか。
まあなんでもいいんですが、これだけ魅力的で強力な布陣であれば、単なるコメディリリーフ
としてではなく、もっと積極的に物語の軸に絡んでいった方がいいんじゃないかと思うんです
ね。つまり、これらのキャラクターに魅力はあるのですが、それを早川の葛藤に対して、どう
いう位置付けとするか、という問題。早川自身との関係性はあっても、軸である葛藤との関係
がまったくない、というのが、非常に勿体ないポイントです。

25 名前: 3/3 感想 >>『心の声に耳を澄ませて』◇bsoaZfzTPo氏 投稿日:2008/03/29() 21:24 ID:vTnOld.I
 さてさて。上記とはちょっと離れて、もう一つ別の点を。個人的に大変気になったのが、主
人公が「小説を書く」という、この舞台装置のあり方についてです。なんかわかりづらいので
はっきり書いてしまいますと、これが「後出しジャンケン」を作り出している部分がある、と
いうように思えてしまった、という箇所があります。主に二カ所で、最初は第一章。
 第一章はメタ構造のミステリ風味の構成だと思うのですが、それはあってますよね? 坂本
が早川の小説の犯人を見抜く、それが謎となり、最後に坂本(=探偵役)による解答編、とい
う流れ。でもここでふと思ったのですが、読み手は早川の小説を読んでいないわけです。その
代わりに必要な情報をあらかじめ提示しておかなければならないのですけれど、でも「冒頭か
ら出てくる主要な人物が四人“だけ”」って、明かされてました?(読み落としでしたらすみ
ません) これが出てないと、ノックスの十戒に触れちゃうかなあと思ったりします。
 もう一個は、ていうかこっちが大事なんですが、第四章のラスト。坂本が、早川の小説の魅
力について独白するところ。以下に抜粋します。
「〜〜登場人物にしっかり筋が通ってて、考え方とか、生き方とか、すごく惹かれる。〜〜」
 これ、早川自身はまったく気付いていない点というか、むしろ早川は自分の小説をつまらな
いと思っていて、そこにぶつけられた言葉なわけですよね。本人も気付いていなかった魅力で
あり、また、坂本が早川に惹かれる理由でもある点。ここで読み手は早川と同様に、早川自身
の隠れた魅力に気付いて「ああ!」と満足するシーンなのですが。でもそこには、重大な問題
が。
 早川がそんな素敵な小説を書いていただなんて、読み手はまったく知る由がないんです。
 ここは「早川は坂本より劣っているとばかり思っていたけど、でもそれは見方を変えれば、
魅力的な部分もあるんだね」みたいに納得する場面なのに、そもそも読み手の知りようのない
部分の話だった、という。坂本がそう言う以上は、きっと早川の小説には言われるような魅力
があるんでしょうし、それはいいことだなあ、と納得はするんですが。でも、微妙に後出しジャ
ンケン感は拭えなかったりもします。ここまでに書かれていない点を魅力の理由付けにされる
と、ううん……と、ちょっと首を捻りたくもなったり、とか。
 で、その、ええと。

 気になった箇所があるとすれば、以上なのですが……我ながら、あり得ないフルボッコだっ
たと自覚しております。指摘したところはほとんど、物語の根幹であったり基本的な方向付け
の問題だったりして、つまりおいそれと改稿してどうこう、というような問題ではないんじゃ
ないか、と自分でも思うからです。これ、もしかして全否定してるように見られちゃったりし
ないかな……なんて思うと、怖いです。ええと、そんなことはないですよ。お話そのものは、
大変楽しく読ませていただきましたし。
 とにかく魅力は、圧倒的な筆力と、あと一個の物語を一個のものとして完成させる安定感。
ユーモラスで引き込まれる人物造形と、それらの織りなすエピソードのスピードとバランス。
そういう部分に関しては、ケチのつけようがないというかもう、脱帽するばかりです。だから
あとはもう、何を書くか、そのためにどれだけ「ケレン味」を注ぎ込めるか、という点に尽き
ると思います。もっと大仰に、大上段に、ベタベタのハデハデにぶちかましてもいいのではな
いかな、と。そういうところでした。

 ええと、というわけで。なにはともあれ。
 長編の執筆、大変おつかれさまでした。
 敬意を払いながらも、楽しく一気読みさせていただきました。
 とにかくもう、面白かったです。またどこかで読めることを祈りつつ。

(文責とかもうね、なくてもバレるらしいとわかったのでもう書きません。
 なにかご意見ご質問および呪詛の言葉等ございましたら、お気軽にお手柔らかにどうぞ)

26 名前: bsoaZfzTPo 投稿日:2008/04/02(水) 22:18 ID:jco191Z.
心の声に耳を澄ませて、を書いたものです。
読んでくれただけでもありがたいのに、感想まで頂いて、ありがたいやら嬉しいやら。
しかし、読解力自重しろww分かりにくい話を書いたつもりはないけど、どんだけ深く読み解い
てくれるのかと。やばいくらい嬉しいです。
本当にありがとうございます。

>>16
ぐさぐさと刺さります。
主観の薄い一人称は、魅力がありません。最近ちょっと流行のテンション低め、饒舌系の一人
称が魅力的な要因は、その言葉の中にしっかりと主人公の価値観というものを見いだせる所
にあるのでしょう。
この話はもともと三人称で書いていたものを、身内公開の段階でもっと早川の心の動きに焦点
を当てた方が良いとの指摘を頂き、一人称へと変更したものです。
早川の心、早川から見た坂本、早川というフィルターを通すことで、俺の表現したいものがより
明確になるのでは、という目論見がありました。三人称くささが抜けていなかったということは、
まさにその一人称への変更、つまりは早川フィルターをかけることに失敗していたということで、
反省することしきりです。
特にピンポイントで三章が三人称っぽいと指摘してくるあたり、俺の作業風景を見てたんじゃな
いかと疑いすら抱きます。ばればれです。
一人称、三人称、どちらもそれぞれ良いところを持っているので、バランス良く突き詰めていけ
るよう頑張ります。

>>23
どんだけ感想書いてくれるのか。鼻血吹くぞ。てか吹いた。
ええもう、凹みました。べっこべこです。ありがとうございます。
俺自身、本スレで感想を書くときに「読者を意識しろ」とか「作者は読者にどういう感想をもたせ
たかったの?」とか、良く書きます。
書くのに、このていたらくです。
長編、というものを実はほとんど書いたことがなく、構成だけで四苦八苦した、というのもありま
すが、どうにも題材が身近すぎる、また、身近な物の中から素敵な盛り上がりを見つける能力
が、まだまだ低いようです。
なんでもない日常を、とびきり素敵に書けるよう、頑張ります。

そして中盤、早川と、坂本以外のキャラとの関係性の話。
この部分をプリントアウトして、数ヶ月前の俺に読ませたくなった。なんだこの的を射まくった上
にためになる助言。
反論や言い訳できるポイントが微塵もありません。これからは常に心がけます。

後出しじゃんけんについて。
一つめの「冒頭から出てくる主要な人物が四人“だけ”」って部分。えーと、一応十戒は意識して
たので、それっぽい記述は出てきます。5レス目の10〜11行目にかけての
>五ページ目は主要登場人物こそ四人全員の紹介が終わっているが、〜
という部分がそのつもりで書いていた箇所です。全員って書いたから良いかなーって。
そして、早川の作品がどんなのか分からない、という部分。
はい、まさに致命的です。
早川、そして坂本の作品がどういう話なのかわからなければ、話の説得力はだだ落ちです。
作中作という形で一部引用っぽく紹介するか、とも考えましたが、それを違和感なく自然に
作品にとけ込ませる自信がまったくありませんでした。
この文芸部がらみの話はもう少し書きたいなあと思っているので、この「部員の書いた話」とい
う難題はどうにかクリアしたいと思います。

追記。
究極超人あ〜るは、俺の中にある学園コメディものの原点ですw

感想は次の作品への意欲であり、糧であります。
お二方、そして他にもいるかもしれない作品を読んでくださった方、ありがとうございました。

27 名前: 感想 >>『ダブルゴースト』◇QIrxf/4SJM氏 投稿日:2008/04/12() 23:57 ID:Naq2hixs
 拝読しました。えー、面白かったです。執筆乙。
 正直、酉を見て身構えた、というのは内緒です。いえ、いつも全感想で戸惑わされる方だっ
たので……面白いけれど、なんて書いていいやらわからない、という。でもそんな予想とは裏
腹の、竹を割ったようなストレートなお話でした。以下感想をば。

 とりあえず文才自重、と。あまり言うことない気がします。魅力はいろいろあるのですが、
まず目を引くのはやはり文章でしょう。ただの地の文であっても、なんだろう……言い回しな
のか文体なのか、物語の雰囲気や空気感に馴染ませてくれるまでが大変早い。するすると読み
下してしまえるこの感覚。計算かセンスかはわかりませんが、文章そのものに独特の味がある
ような感覚がありました。読みやすく、入りやすいです。
 ストーリーについても言うことないです。現代魔法ファンタジー、とでも言うようなお話で
しょうか。きっちりした起承転結といいますか、導入、世界観の紹介、事件の発生や解決など、
必要なものは全部入っていて、流れに不自然さもなくするする読める。キャラクターもそれぞ
れクセがあって魅力的で、ごく自然と物語世界に引き込まれます。
 個人的に大変驚いたのは、主人公のいわゆる「最強設定」。魔力を吸収する、というちょっ
と特殊な能力で、なんてあたりも含めて、この手のラノベ的バトルファンタジーではものすご
くオイシイ要素ではあるのですが。自分にはこれ、絶対できません。というのもこの「最強設
定」、たんなる「俺TUEEEEE!」に堕してしまう危険もはらんだ諸刃の剣だと思うのですよ。
それなのにしっかりとピンチの山場をこさえて、かっちり振れ幅いっぱいのカタルシスを提供
するというこの展開。読み手として見ている分には非常に簡単そうなんですが、いざ自分で書
くとなるとこれってずいぶん難しいよなあ、なんて、そんなことを思ったりもしました。
 あとまあ、触れずにはいられないのはキャラクターといいますか、メインキャラのうち主人
公を除いた三名です。香恋、ルビー、姉、と……女だらけ、というか、これなんて包囲網? 
という。いわゆる「ハーレムもの」とは違うのですけれど、この布陣はそれを彷彿とさせると
いうか、イエスお前はよくわかっているな、というか。キャラの差別化もしっかりできている
あたり、まったく頭が上がりません。もうね、どんだけだ。
 そんなわけで、一言でいうのなら、頭からケツまで綺麗にエンタメしてちゃんと落とし前も
つけてくれる物語、という感覚です。ここまでスコーンと竹を割ったような物語とは思ってな
かった分、二重にびっくり。いや、面白かったです。作者乙。

 ――そして以下はお待ちかね、棚上げ全開のフルボッコで。不要なら読まずにブラウザを閉
じてしまってください。ていうか、この作者さんにこんな指摘、必要なのかなあと疑問。

 一言でいってしまえば、尺が短い、とそれにつきます。言い方を変えるなら、この尺を目指
して書いたのであれば、指摘できるところはないなー、というか。この短さならまあしょうが
ないよね、と諦めてしまう部分があったりします。えー、奥歯に物の挟まったような言い方で
すが、指摘するにも自信がないんです。なんと言いますか、言い方が難しいのですけれど、一
番気になったのはこの物語のテーマ性といいますか、主張の部分。
 尺はしっかり使い切ってあって、テーマとかそんなもん入れる間ねえよ、ってことになるの
で、これを言うのはずるいかなあ、とも思うのですけれど。例えば主人公の戦う理由とか、あ
るいは戦って得るものとか失うものとか、そういうのがあると話がグッと厚くなるかなあ、と。
バトルそのものの展開やカタルシスの生み方にはまったく不満はないのですけれど、じゃあそ
こまでして戦うことに、いったいどれだけの理由があるのか、という点。そういうバックグラ
ウンドで主人公の行動を下支えしてやると、物語そのものに格段の説得力が出てくるのではな
いかと。
 尺を考えてあえて切った部分だとは思うのですけれどね。ただ読み手というのは気楽なもの
で、「だったら尺伸ばせばいいじゃん」とか平気で思ったりします。ただでさえ長編と言うに
は短すぎる尺ですしね。まあ理由があって行動が生じて、その結果や行程に出てくる矛盾やす
れ違いに思い悩んで、というのは、物語の核というか、一番おいしい要素になりうる部分かと
思いますので。もう少し長いものを書こうと思ったときなんかは、そんなものも加味してやる
と素敵なんじゃないかなあ、なんて思います。

 あと、ええと。趣味の問題も混じるかもしれませんが、どうしても外せないポイントとして。
たぶん立ち位置的にこの話、香恋がメインヒロインではないかなーと思うのですが。その割に、
なんといいますか……いまひとつ影が薄いです、このひと。これも「尺が短いから」で片付い
ちゃうんですけどね。でも主人公が思い的なものを寄せるほどの相手だというのに、それが「
そういう設定だから」で片付いてしまっている部分があります。思いを寄せるほどの相手であ
るなら、その根拠を語ってくれないことには納得が行きません。
 ていうかまあ、それだけ他のヒロインが魅力的、っていうことでもあるのですけれど。ルビー
なんてずいぶんキャラ立ってますし。姉とか、出番少ないのに妙に濃いオーラ漂ってますし……
ていうか、なんか姉がすごく気になります。ストーリー上、実はそんなに必要のないキャラで、
その分出番も少ないはずなのに。いや、それでもこんなに出てくること自体がもうおかしいの
か。なんかね、どうも主人公、香恋よりも姉に惚れてませんか? なんて思ってしまうほど無
駄に濃いオーラを感じます。なんなんだろうこれ。なんか変な感じ。まあメインヒロインより
も濃い姉、とか、物語構成上ものすごい大問題だと思いますので、ここは要修正かと。
 とにかく、香恋の魅力がまったく書かれていないことが気になります。惚れてる設定です、
というのと、あとラスボスと戦うためにさらわれるーとか、なんかギミックとしてしか使われ
てない感じで不憫です。少なくとも姉には勝って欲しいなあ、と思いました。

 あとは、ええと。自分がまったくできないどころか、苦手でいつも放り投げるような点を指
摘するのもすげえ気が引けるんですが。世界観の薄さ、というのがあるかと。魔法のある世界
なら、そのあたりの考証をしっかり……とか、ええ、口が裂けても言えません自分には。ただ
ね、魔法バトルがメインで、というかむしろそれしかないぜ、ってくらいの極太展開なわけで
すから、そのあたりに重きを置いてもっとこってりしてもいいんじゃないかなあ、と。つまり
ええと、ただ「魔法」だけじゃなくて、もっと濃く厨二な感じに、っていうと語弊を招きそう
ですが。主人公が最強設定で魔法で魔王クラスとバトルー、とくれば、設定をごてごて練らな
くてどうするよ、という、個人的な趣味が。
 そのあたりが顕著なのは、やっぱりラストのルビーの魔法かと思います。かなり強い必殺技
というのはわかりましたが、で、結局どんな技なのーと思った部分は確かにあります。まあそ
れだけわかれば十分で、テンポ的にゴテゴテやるような場面でもないかもしれませんが。でも
ちょっとは欲しいよなあ、なんて思ったのも事実です。わがままでごめんなさい。

 と、こんなところです。とにかく魅力は竹を割ったような極太のドエンタメ展開、ライトで
最強な魔法バトル、と、ここだと思います。こんなまとまった話書けるのはすげーなあ、と素
直に関心、そして楽しみました。面白かったです。大変に乙でしたー。以上。

28 名前: >>『ふくらみに憧れて』  ◇0CH8r0HG.A氏 投稿日:2008/11/24(月) 00:05 ID:AhQwbH52
先に述べておきますが、ギャグというジャンルをほとんど読んだことがありません。
書かれた趣旨とは相反する事を書いている可能性も十分にありますが、ご容赦下さい。


さらりと読めすぎたので3回ほど読み直しました。
感想としましては大変申し訳ないのですが、「いまいち」という言葉が出てきてしまいました。
全体で見た時、話の盛り上がり、落ちなどに感動を覚えにくいと言いますか、そもそもそういうタイプの話では無いかも知れませんがそれにしても。
面白味に欠けるかなぁ、と。

まずライムと主人公との掛け合いですが、ストーリーとしての説明部分と思いますのでここは特に。
ただ、「幻想的な生物(妖精)なのに口が悪い」「虫扱いされている」「女神が水着審査」あたりがやや空回り気味かなと思いました。
眼が悪いならともかく、掌サイズの少年ならば虫に……見えますかね?
同様に、女神との対決シーン。
圧倒的な力の差の前に、右の肉まんが全く意味をなしていないという絶望かつコミカルなシーンのはずなんですが、何だか面白味を感じませんでした。
どうも全体的に、駆け足でシーンが通り過ぎているような気がします。
そのせいか、落ちもちょっと余韻やら意外性やらに浸れませんでした。
このタイプの話は、一つの要素に時間をかけて構成した方が良いんじゃないかなと思います……が、元々品評会作品だったのならこれは無理な話ですよね。

ともかく、ここまで伸びてしまったならいっそもっと詰め込んでみた物を読んでみたいと思いました。

29 名前: 『ふくらみに憧れて』 ◇0CH8r0HG.A 投稿日:2008/11/24(月) 01:42 ID:tGhXisRY
感想と言いましても、上の人のように色々書けませんので私の思ったことを。

長編と言っても、非常に簡潔かつテンポのいい文体なので、すらすら読むことが
できました。
私としてはこの時点で面白い小説です。あくまで主観ですけど。

書かれている女の子も魅力的でした。

いいですよね、胸が無い事を気にしている女の子。しかも女神。
主人公で、なおかつキャラも濃いのに何故かライムちゃんの方が主人公しちゃってます。

お話としては、王道パターンのそれでしょう。ちょっと対決シーンにインパクトがなく、
山場としては地味になっていますが、限られたレス数の中で苦心した跡が見えます。
作中のシュールなネタに関しては、これは完全に各人の好みになると思います。私は好きでした。

対決の内容が、ぬるぬるオイルレスリングとかギリギリ早脱ぎ対決とか生クリーム風呂とか
キワキワ水〈以下略〉
だったら良かったのに…!と思う私は変態です。

期待しつつ感想は以上でした。
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